AIの台頭で士業はオワコンになるのか?士業の生き残り戦略とは

AIの台頭で士業はオワコンになるのか?士業資格全般

弁護士・税理士・司法書士・行政書士など「士」がつく職業は、これまで社会的な地位や給与が高い傾向にあり、誰もが憧れる職業でした。しかしながら、人工知能(artificial intelligence:AI)の台頭によって、以前は憧れの職業であった士業もオワコンになると言われるようになっています。

士業に限らず、AIの利用が広まれば、あらゆる職業においてその働き方は変わることを余儀なくされることでしょう。この記事では、AIの台頭を受けて、今後士業はどのように生き残っていけばよいのかについて、具体的に説明していきます。

士業はオワコンなのか?

士業はオワコンと言われるようになっています。その理由はAIによって士業の仕事のほとんどが代替される可能性が高いという研究レポート「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(野村総合研究所)が公表されたことによるものです。

このレポートでは、将来的にはAIが業務の大半を代替できるようになることから、専門職の人たちの経営環境は激変していき、10年後には今の仕事の半分以上はなくなっていることが示されています。

このレポートは、当時各種メディアに大きく取り上げられ注目を集めました。ただし、このレポートに対する批判も少なからず存在しています。研究方法の妥当性が低いというものや、結果を過大に解釈しているなど、様々な批判があがっています。

ここで重要なことは、AIによって士業の仕事が代替されることを批判するのではなく、むしろ、AIと共存しながら、各士業にしかできない仕事を模索することです。

時代が変化し、AIが台頭する社会がやってくるのであれば、士業として働いている人々は、AIと共存するような働き方を求められるようになるでしょう。

そのように考えれば、現在は、士業はオワコンになっているのではなく、むしろ、AIとの共存という新しい働き方を模索するチャンスを迎えていると考える必要があります。

AIの台頭と士業の関係

野村総合研究所が2015年に出した「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(野村総合研究所)というレポートによれば、多くの士業がAIによる代替可能性の危機にさらされていることが示されています。

図1:AIによる代替可能性と資格試験の合格率

AIによる代替可能性と資格試験の合格率

(出所:野村総研(2015)『10 ~ 20 年後に、AIによって自動化できるであろう技術的な可能性』)

このレポートが示しているように、弁理士・行政書士・公認会計士・税理士・社会保険労務士の仕事の実に80%程度、高い場合には90%以上もの仕事がAIによって10年〜20年以内に代替されるであろうことが予想されています。

もちろん、将来のことは誰にもわからないので、この予想が確実に的中するかどうかも誰にもわからないものの、こうした結果は多くの士業が職を失う可能性が高いことを示しています。

実際、たとえば、弁護士の場合、AIによる代替可能性は1.4%に留まっているものの、すでに裁判前のリサーチのために数千件の弁論趣意書や判例を精査することができる技術が活用されています。

人間の弁護士には、数千件の弁護士趣意書を確認することは何日もかかる作業となりますが、コンピュータ、ましてAIを利用すればこの作業は数時間もかからずに完了させることが可能です。

AIは、すでにある膨大な資料やデータ(これはビッグデータと呼ばれます)を読み込み、日々分析と学習を重ねていることから、人では見抜けない間違いや不正などにも気づくことができるというわけです。

このように、AIは、従来は時間をかけて学習や経験をすることで専門家として活躍していた士業の作業を代替して、短時間で行うことができるようになります。

AIは、人間には敵わないような極めて高度な知力を有しているうえに、なお日々の学習によって進化を続けているので、職業エリートかつては言われていた士業の業務であっても、その大半が代替可能になっていくのは避けることはできないのです。

これからの士業に求められる能力

すでに説明したように、これまでみんなの憧れの職業であった士業の仕事は、次々とAIによって代替されていくことが予想されています。それでは、士業はもう誰も就業する必要がないような魅力のない職業となっていくのでしょうか。

決してそのようなことはありません。AIによって代替される仕事の多くは創造性を必要としない仕事です。簡単に言えば、各士業が業務のなかで行っているルーチンワークはどんどんAIによって代替されていくでしょう。

しかし、どんなにAIが進化したとしても、AIは入力(インプット)に対して任意の出力(アウトプット)を返しているに過ぎません。これはAIの構造的な限界であるので、AIは決まった入力に対して、決まった答えを出力しているに過ぎないのです。

したがって、これから各士業に求められるのは、創造性、つまり、答えのない仕事取組む能力ということになります。

士業の生き残り戦略

多くのルーチンワークがAIによって代替されるとすれば、それは各士業にとって必ずしも悪いことばかりではありません。なぜなら、AIの台頭によって、士業はルーチンワークから解放されるからです。

税理士であれば、手間と時間がかかるが新しい価値は何も生まない日々の記帳業務から解放されることになりますし、司法書士であれば、書類作成業務から解放されます。

したがって、私たちは、むしろ、AIによって仕事を奪われることに対して悪戯に怯えるのではなく、むしろ、AIと共存を図ることが求められます。それでは、各士業はどのように生き残っていけばよいでしょうか?

以下では、士業がとるべき生き残り戦略について考えていきます。

人間にしかできない業務で生き残る

AIは人間よりもルーチンワークであれば素早く、しかも正確に行うことができます。したがって、人よりもAIの方が正確にできる、作業効率が上げられるような業務、AIが人の代わりに全てをこなせるような業務は、今後AIによって代替される可能性が高いでしょう。

しかし、逆に言えば、それ以外の仕事はAIは苦手で、むしろ、人間の方がうまくできます。より具体的に言えば、専門的なコミュニケーションや交渉が求められるような業務については、人間の方が得意だと言うことができるでしょう。

たとえば、AIに代替される可能性が高いと言われている公認会計士であれば、各企業の課題に合わせた提案を行わなければならないコンサルティング業務や企業評価業務は、多くの利害を有する人々とコミュニケーションを取ることで利害を調整し、解決方法を模索していかなければなりません。

したがって、AIはこうした業務は行えないと言えます。このように、これからの士業は、人間にしかできない業務に特化してその能力を磨いていくことが1つの生き残り戦略になると考えることができます。

AIとの共存を図って生き残る

AIは人間と敵対するような存在ではなく、むしろ友好関係にある存在です。AIは人間の幸福のために存在しています。

かつて、産業革命の時代に機械が誕生して労働を奪われた人々はラッダイト運動(機械打ち壊し運動)を行いました。しかし、この時代であっても、機械は人間と敵対するものではなかったはずです。

むしろ、人間にはできなかった大量のものを作ることができるようになり、人間はそれによって多くの利益を享受しました。

したがって、各士業として働く人々もAIと敵対すべきではありません。AIにできる仕事はAIに任せ、AIにできない仕事を人間が行うようにしていくことが大切です。

AIにできないのは創造性を伴う仕事です。新しいサービスを生み出したり、オーダーメイドのサービスを提供したりといったことは人間にしかできません。

ルーティンワークから脱し、新しいサービスを提供することができるようになれば、各士業がオワコンになるということは決してないと言えるでしょう。

まとめ:士業はオワコンにはならない

士業はオワコンと言われていますが、AIの普及は士業の仕事をすべて奪っていくわけではありません。むしろ、AIの普及によって士業には新しい業務が生まれると言えるでしょう。

現在、士業という職業に就いている人たちは、そのための準備を始めておかなければなりません。日々のルーティンワークを効率的に行うことによって報酬を得るのではなく、新しい、サービスを開発したり、クライアント一人ひとりのニーズと向き合いサービスを提供することで報酬を得るようにしなければなりません。

ルーティンワークのほとんどは今後AIによって代替されることでしょう。専門的なコミュニケーションや交渉は決してAIが代替できるものではありません。そうした業務ができるように今から準備しておくことが、今士業に求められていることではないでしょうか。

【この記事を書いた人】
編集長カシワギ

士業資格の教科書編集長のカシワギと申します。コンテンツの作成とサイト運営を担当しています。士業資格のことならなんでもお任せください。

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