8士業ってなに?各士業の専門領域と将来性を詳しく解説

8士業とはどの士業を指すの?各士業の専門領域と将来性を詳しく解説士業資格全般
この記事ではこれがわかる!

・8士業とはどの士業を指すの?

・各士業の専門領域・業務内容は?

・8士業の将来性は?

弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士、行政書士など、日本には「士」という漢字のつく職業がたくさんあります。これらの職業は、一般に、高度な専門性と公共性が求められる職業であり、その士業に就いている人達だけが行うことを許されている独占業務もあるため、年収も高く人気のある職業です。

そんな士業のなかでも、特に8士業と呼ばれる職業があります。この記事では、そんな8士業に含まれるそれぞれの職業について詳しく解説したのち、その職業の将来性について士業資格の教科書編集長のカシワギが解説します。

8士業とは?

8士業とは、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁理士・社会保険労務士・行政書士・海事代理士という8つの士業のことを言います。

士業とは、専門性の高い資格が必要となる職業の俗称です。侍(さむらい)業と呼ばれることもあります。もともと、「士」という漢字のつく職業は、高度な専門性と公共性の高い職業であることが多く、上であげたもの以外にも、公認会計士・中小企業診断士・不動産鑑定士などを挙げることができます。

なお、医師や看護師のように、「師」という漢字のつく職業も、広義の士業に含まれることがあります。

このように、士業と呼ばれる職業は多々ありますが、そのなかでも、特に「戸籍法上の職務上請求権」を有する士業である、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁理士・社会保険労務士・行政書士・海事代理士という職業は、8士業と呼ばれます。

「戸籍法上の職務上請求権」とは、依頼者に関する戸籍謄本や住民票などの書類について、職務を遂行するうえで必要であるという理由で取得することができる権利のことを言います。

要するに、公的な書類が職務を遂行するために必要となるので、そうした書類を依頼者の許可を得て取得することができる8つの職業が、8士業と呼ばれているというわけです。

8士業の専門領域

弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁理士・社会保険労務士・行政書士・海事代理士という8士業は、いずれの職業も、高い専門性と公共性を求められる職業であるという点で共通しています。

以下では、それぞれの職業がどのようなことを専門としているのかについて詳しく説明していきます。

弁護士の専門領域

まず最初に説明する8士業の1つは弁護士です。弁護士とは、「当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする」者と定義されています

【参考】『弁護士法3条』(弁護士法)

弁護士は法律に関する高い専門性を活かして、社会のなかで生きている人々のトラブルを解決する職業です。8士業のなかでも、弁護士の認知度は非常に高く、年収も高くなる傾向にあることから、弁護士資格の取得を目指す人も多くいます。

しかし、弁護士になるためには、司法試験に合格しなければならず、法科大学院を修了した人、もしくは法科大学院を修了していない人を対象とした予備試験の合格者だけしか受験することができない難関試験を突破しなければなりません。

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司法書士の専門領域

次に説明する8士業は司法書士です。司法書士は、「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命」とする者として定義されている職業です

【参考】司法書士法第1条』(司法書士法)

司法書士は、裁判所・検察庁・法務局といった機関に提出する書類を作成したり、登記手続について、本人を代理して行います。また、法務大臣の認定を受けた司法書士であれば、簡易裁判所が管轄する民事事件について本人を代理して行うことができます。

司法書士が行う仕事は多岐にわたるものの、その多くが登記手続きに関するものです。起業時の会社の登記、土地購入の際の登記など、社会のなかで暮らす市民と密接に関わることも多い職業です。

司法書士は登記という仕事を生業の中心にしており、社会生活を営むうえで登記はどうしても必要となることから、他の士業と比較するとその報酬価格は高い水準で安定しています。

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司法書士とは、裁判所・検察庁・法務局といった機関に提出する書類の作成を行ったり、不動産登記の手続きの代理人などの業務を行う職業です。司法書士しか携わることができない独占業務が認められている職業でもあります。

土地家屋調査士の専門領域

3つ目に説明する8士業は土地家屋調査士です。土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記に関して、必要な土地又は家屋について調査及び測量を行う専門家として活躍しています。

【参考】『土地家屋調査士倫理規程』(土地家屋調査士倫理規程)

不動産の物理的状況を正確に登記記録に反映させるために、必要な調査及び測量が毎日の仕事の中心です。その他にも、土地家屋調査士は、依頼人の求めに応じて不動産の表示に関する登記の申請手続を代理したり、不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続きを代理したりしています。

簡単に言えば、土地家屋調査士は、「土地や建物がどこにどれくらいあるのか?」を登記簿上で明らかにするのが仕事の職業です。

2020年は、土地家屋調査士という職業が誕生して70周年の年となります。昨今社会問題となっている所有者不明土地問題や空き家問題について、土地家屋調査士の活躍のフィールドは広がっています。

「土地家屋調査士」の資格を得るには、法務大臣の認定を受けるか、または法務省が実施する試験に合格しなければなりません。資格試験の合格率は、例年10%程度となっており、難関資格であることは間違いありません。

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土地家屋調査士は、不動産の状況を正確に登記記録に反映することによって不動産取引の安全を確保することを使命とする職業です。年収は比較的高い位置で安定しており、多くの場合企業に所属して活躍することになります。

税理士の専門領域

4つ目に説明する8士業は税理士です。税理士とは、納税者から依頼を受けて、申告の代理や書類作成、税金に関する税務相談の業務を行う職業です。

企業では法人税や所得税及び住民税等の処理、役員や株主の所得税や相続税対策などの業務も行っています。税理士は、一言で言えば、税の専門家ということになりますがその業務は多岐にわたっています。

税理士法によれば、税理士は税務相談・税務代理・税務相談の3つの業務を行うこととされていますが、これ以外にも、例えば、企業の会計帳簿の記帳代行業務も税理士の重要な業務の1つです。

【参考】『税理士法第2条』(税理士法)

税理士は国家資格であるので、税理士試験に合格しない限り税理士となることは原則としてできません。税理士試験は11科目の中から5科目を選んで、各科目に合格する必要があります。

科目合格制度を採用しているので、一度に5科目全てに合格する必要はなく、数年かけて数科目ずつ合格を積み重ねて、税理士となることができます。

税理士とはどんな職業?年収・なり方・将来性などを総解説
税理士とは、税金に関する専門家です。税理士は、税金に関する人々の不安を解消しながら、公平かつ適正に申告納税制度が運用されるように社会的使命を果たします。年収は高い傾向にあり、税理士になるには国家試験の合格が必要です。

弁理士の専門領域

5つ目に説明する8士業は弁理士です。弁理士は、「知的財産に関する専門家として、知的財産権の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命」としています

【参考】弁理士法第1条』(弁理士法)

特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を取得したい方のために、代理して特許庁への手続きを行うのが弁理士の主な仕事です。

弁理士は、自分で事務所を開業することもできますし、企業内弁理士として働いたり、大学で教員となることもできるなど、非常に幅広い活躍のフィールドがあります。

今後の社会において、知的財産は非常に重要となります。企業や個人が保有する知的財産を守ることを使命とする弁理士は、今後も社会のなかで必要とされる重要な職業です。

弁理士とはどんな職業?仕事内容・年収・将来性まで総解説
弁理士とは、知的財産に関する法的な業務を専門に扱う法律の専門家です。知的財産に関する権利関係に精通しており、知的財産権をもつ人々の利益を保護するために活躍します。年収は600万円前後で、将来性も安定した職業です。

社会保険労務士の専門領域

6つ目に説明する8士業は社会保険労務士です。社会保険労務士は、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資する」ことを使命とした職業です。

【参考】『社会保険労務士法第1条』(社会保険労務士法)

社会保険労務士は、労働・社会保険に関する問題や年金の相談などに応じる人材のプロフェッショナルとしての活躍が期待されている職業です。

労働保険や社会保険に関わる手続き代行は社会保険労務士の資格を有している人だけができる業務で、社会保険労務士の独占業務となっています。その他にも、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿といった法律で定められた3つの帳簿を作成することも社会保険労務士の大切な仕事の1つです。

社会保険労務士になるためには、社会保険労務士試験に合格し、一定の実務経験を積むか、事務指定講習を修了しなければなりません。社会保険労務士試験の合格率は5〜10%程度となっており、突破するには相当な時間勉強しなければならないことがわかります。

社会保険労務士とはどんな職業?業務内容・収入・将来性をわかりやすく総解説
社会保険労務士は、企業人事や労務、保険や年金といった労務管理のエキスパートとして活躍する職業です。社会保険労務士の収入は安定しており、また将来性にも期待できる職業です。

行政書士の専門領域

7つ目に説明する8士業は行政書士です。行政書士は、行政手続きを専門とする法律家で、「行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資すること」を使命としています

【参考】『行政書士法第1条』(行政書士法)

より具体的に言えば、官公庁に提出する許認可等の申請書類の作成ならびに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事務署名及び契約書の作成、行政不服申立手続代理などを行うのが行政書士の仕事です。

行政書士が官公庁に提出する書類等を正確かつ迅速に作成することによって、国民においてその生活上の諸権利や諸利益が守られるようになり、また行政としても提出された書類が正確・明瞭に記載されていることによって効率的な処理が行えるようになります。このように、行政書士は公共性が非常に高い仕事であると言えます。 

行政書士になるためには、行政書士試験に合格しなければなりません。学籍・年齢・国籍などによる制限はないものの、およそ合格までには半年から1年程度の時間がかかる難関の国家資格です。

行政書士とはどんな職業?仕事内容・収入・将来性までわかりやすく総解説
行政書士とは官公署に提出する書類の代行作成を行う職業です。お堅いイメージのある職業ですが、仕事内容は幅広く、多様で柔軟な働き方ができます。収入は人によって幅がありますが、年収1000万円を目指せる職業です。

海事代理士の専門領域

最後に説明する8士業は海事代理士です。海事代理士という職業はあまり馴染みがない人も多くいますが、国家試験に合格しなければなることのできない職業です。

『海事代理士法第1条』(海事代理士法)によれば、海事代理士は、「海事関係諸法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続きをし、又はこれらの手続きに関する書類の作成を業とする者」と定義されています。

【参考】『海事代理士法第1条』(海事代理士法)

簡単に言えば、船舶や船員、船舶や海技免状等の取得に必要な諸手続きの申請を代理し、手続きに必要な書類を作成するのが仕事です。

海事代理士となるためには海事代理試験に合格し、海事代理士として登録しなければなりません。合格率は筆記試験で50%を超えており、口述試験では90%を超えるものの、これは海事代理士試験の受験者の多くがすでに司法書士や行政書士の資格を有している人であるためです。

そのため、海事代理士となるためには、他の士業と同様の量の勉強が必要となります。

海事代理士とはどんな資格?なり方・年収・将来性・難易度を総解説
海事代理士は、海事代理法を根拠に仕事をする法律の専門家です。海事代理士の年収は100万円から1000万円までと幅がとても広い職業です。ただし、船が好きな人や海運に関する職業に就きたい方にはおすすめの資格です。

8士業以外の士業にはどんなものがある?

士業と呼ばれる職業は、職業が多様になるに連れて増えてきています。これまで説明した8士業の他にも、公認会計士や中小企業診断士を含めて10士業と呼んだり、ファイナンシャル・プランナー技能士・一級建築士・宅建士などを士業に含めることもあります。

いずれの職業についても、高度な専門性と公共性を有している職業であるという点については共通しているので、その時代その時代において、高度な専門性と公共性がないと務まらない職業が増えるたびに、「○○士」という名称がつくと考えられます。

たとえば、今後AIに関する職業が台頭するようになった際、AIを作るためには高度な専門性と公共性を要求されることから、「AI技術士」のような職業が誕生するかも知れません。

中小企業診断士とはどんな資格?なり方・年収・将来性など総解説
中小企業診断士は、経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格です。中小企業の経営・金融・財務に関して助言を行うことが中小企業診断士の業務となります。他の国家資格と比べて取得しやすく、会社からも評価される資格であることが魅力です。
FP(ファイナンシャルプランナー)とはどんな資格?国家資格と民間資格の違い・年収・将来性などまとめて解説
FP(ファイナンシャルプランナー)とは、マネーに関する人生設計の専門家です。FPは無資格でも一応名乗れますが、資格をとることが一般的です。年収はおおよそ300万円前後で、将来性も高い職業です。
宅建士とはどんな資格?仕事内容・年収・将来性がこれを読めば丸わかり!
宅建士は不動産の取引において権利関係の調査、内容説明、契約締結などの業務を担当できる国家資格です。不動産業で働く場合に取っておくと有利になります。また、需要や年収が安定していることから人気の資格です。

8士業はAIに代替される?

ここまで説明してきた8士業の業務の多くは、AIによって代替される可能性が高いと海外論文で指摘されています

【参考】『THE FUTURE OF EMPLOYMENT』(Frey and Osborne, 2013)

特に、この研究では、行政書士・税理士・弁理士が90%以上の確率でAIに代替されることが明らかとされています。

また、司法書士や社会保険労務士についても、約80%の確率で代替されることが示されています。この結果は、上で挙げた8士業のうち、5つもの職業が将来的にAIによって代替される可能性が高いことを示すものです。

確実に代替されるというわけではないものの、8士業のうち5つの士業がAIによって代替される可能性が高いという事実は重く受け止めておかなければなりません。

8士業の将来性

8士業のうち5士業もの職業がAIに代替される可能性が高いというデータは非常に衝撃的なものです。それでは、AIに代替される可能性が高い8士業はこれから衰退していく道しか残されていないのでしょうか。

確かに、現在ほどの人数の士業が必要であるということはなくなるかも知れません。したがって、確実に8士業の就業者の数は減ることになります。  

しかし、8士業の仕事は、高い専門性と公共性を求められる仕事です。法律は毎年のように変わりますし、時代に応じて求められる倫理や道徳のような倫理性は異なります。したがって、8士業の今後の将来性としては、いかに社会のなかで生きている一人ひとりの悩みに応えることができるかにかかっています。

公的な文書作成のような仕事は、AIが行った方が正確で早いことは間違いありません。こうした誰にでもできる仕事はAIに任せてしまい、悩みや不安を抱える一人ひとりの希望や願いを叶えていくことが、今後の8士業には求められると考えられます。

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AIの台頭で士業はオワコンと言われていますが、AIは士業の仕事をすべて奪っていくわけではありません。むしろ、AIの普及によって士業には新しい業務が生まれると言えます。AIで士業はオワコン論のウソを暴きます。

まとめ

士業は、高度な専門性と公共性が求められる職業です。

士業のなかでも、戸籍法上の職務上請求権を有する8つの職業(弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁理士・社会保険労務士・行政書士・海事代理士)は8士業と呼ばれ、社会のなかで重要な役割を担っています。

今後、士業には厳しい時代が到来することが予想されていますが、社会のなかで重要な役割を担っている士業という職業が完全に無くなるということはありえません。今後、士業はより一層の専門性を高めることが求められているというよりも、より高度な公共性が求められます。

士業に求められるより高度な公共性は、社会のなかで生きる一人ひとりの人達が抱える悩みや不安を解決することです。これを意識して日々の職務に取組むことが、今後の8士業には求められると考えられます。

【この記事を書いた人】
編集長カシワギ

士業資格の教科書編集長のカシワギと申します。コンテンツの作成とサイト運営を担当しています。士業資格のことならなんでもお任せください。

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