司法試験とは?法曹資格獲得の登竜門である司法試験の詳細を総解説

司法試験とは?法曹資格獲得の登竜門である司法試験の詳細を総解説司法試験・予備試験
この記事ではこれがわかる!

・司法試験ってそもそもどんな試験なの?

・司法試験に受かるとどんな職に就けるの?

・合格率や採点方式、試験概要は?

・司法試験の難易度はどれくらい?

・司法試験に合格するための勉強法とは?

司法試験とは、最難関の国家試験の一つです。裁判官、検察官、弁護士といった法曹として活躍するためには、司法試験に合格しなければいけません。

そこで、この記事では未来の法曹を志願する方のために、司法試験について詳細に解説します。特に、司法試験に関しては近年抜本的な制度改革が行われたために、受験資格や試験科目に注意が必要です。

かなりボリューミーな記事にはなりますが、この記事をひと通り確認していただければ司法試験の全貌は必ず理解できるようになっています。また、文中と記事の最後に関連記事がございます。そちらの記事を併せてお読みいただくことで、より理解を深めることが可能です。

この記事を通して司法試験の全容を理解してください。

法曹になるためには?司法試験に合格すればすぐに活躍できる!?

まずは、司法試験がどのような位置付けの国家試験なのか、法律家として仕事をするまでのプロセスと絡めて説明します。

司法試験に合格すればすぐに働けるわけではないのでご注意ください。

司法試験は法律家になるために必須の試験

「司法試験=法律家」というイメージを抱かれる方は多いことでしょう。もちろん、その認識は間違ってはいません。

司法試験に合格すれば、裁判官・検察官・弁護士として仕事をする道が拓けます。その意味において、「司法試験は法律家になるための国家試験である」という表現は間違えてはいません。

ただし、司法試験に合格したからと言って、すぐに法曹として仕事ができるわけではありません。法律家とは、国家の司法作用を担う重要な役割を担う人たちです。

依頼者の利益を守ろうとする弁護士、刑事手続の中で正義を実現しようとする検察官、公平公正な立場から数多くの紛争に法律を適用して解決を図る裁判官。これらは皆、背負うものが大きいが故に、そうそう簡単に就ける仕事ではないのです。

法曹資格を得るまでの道筋とは?

では、法曹資格を得て実際に法律家として仕事ができるようになるまでの概略を説明します。

①司法試験の受験資格を得る段階

そもそも、現在採用されている制度では、誰でも司法試験を受験できるわけではありません。司法試験を受験するためには、一定の資格を有する必要があるのです。

具体的には、法科大学院を卒業するか、司法試験予備試験に合格するか、このいずれかの要件を充たさなければいけません。これについては項を改めて説明します。

②司法試験を受験する段階

法科大学院を卒業、もしくは、司法試験予備試験に合格することで、ようやく司法試験を受験することができます。これが、この記事において主に取り上げる段階です。

③司法修習、二回試験

司法試験の合格者は、司法修習生という身分で丸一年間、弁護士・検察官・裁判官として実際に職務をこなせるようになるために実務研修を行います。

研修期間の最終段階では「二回試験」という名の卒業試験に合格しなければいけません。二回試験が法曹になるための最終関門の試験です。

「ここまで駒を進めることが出来たのなら全員合格して当たり前じゃないの?」と思われるかもしれませんが、それは全く異なります。ここまでいくつものハードルをクリアしてきた人たちなのに、それでも二回試験に不合格になる人はいるのです。

参考までに、過去5年分の二回試験の結果を紹介しておきます。法曹になるのがどれだけ大変なことか、ご理解いただけるはずです。

司法修習生数二回試験不合格者数
平成26年度1,761人33人
平成27年度1,787人54人
平成28年度1,530人16人
平成29年度1,516人16人
平成30年度1,482人8人

【参照】(法務省『二回試験不合格者数』

④ようやく法曹三者へ

司法修習を経て二回試験に合格すれば、法曹三者のうち一つを選択し、仕事をはじめることができます。ただし、希望通りの仕事に就けるわけではありません。裁判官、検察官になるためには、司法修習、二回試験の成績が重視されます。希望したからと言って、必ず裁判官、検察官になれる保証はないのです。

また、弁護士についても希望の弁護士事務所に就職できるとは限りません。もう一度上述の表をご参考いただきたいのですが、同期の司法修習生は約1,500人います。つまり、この人数で数少ない弁護士事務所の採用枠を争わなければいけないのです。人気のローファームなどは、本当に狭き門です。

以上のように、司法試験の受験資格を得る段階から数えると、いくつものハードルをクリアしてはじめて、法律家として脚光を浴びることができるのです。

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司法試験は受験資格を得るところから大変!

では、先程述べたように、司法試験の受験資格を得る方法の概略を紹介しておきます。司法試験の受験資格を得るための方法は、先程簡単に触れたように2つのルートがあります。

法科大学院(ロースクール)を卒業するか、司法試験予備試験に合格するか、です。

法科大学院ルートについて

法科大学院ルートについて、こちらは各法科大学院に入学するために受験が必要です。適性試験と各大学院における個別試験両方の結果から合否が決せられるのが一般的な試験スタイルです。

法科大学院は、法律未修者向けの3年コースと、法律既修者向けの2年コースに区分されます。大学の法学部で法律を学んでいた学生は、たいてい2年で卒業できる既修者コースの入学を狙います。

他方、大学で法学部以外に在籍していた学生は、その多くが未修者コースに入学し、法科大学院で3年間を過ごします。

卒業すれば自動的に司法試験を受験できますが、他方で確実に2年ないし3年の時間を法科大学院で過ごさなければいけません。また、進級や卒業にはかなりハードな勉強を日々積まなければいけません。留年や退学も珍しいことではありません。

司法試験予備試験ルートについて

司法試験予備試験ルートについて、こちらは誰でも受験できます。受験資格を問われないために、受験者数は多く、また、合格数はかなり少ないのが特徴です。

短答式、論文式、口述式の三段階の試験をクリアしなければいけないので非常にハードな試験になっています。ただ、実力さえあれば、法科大学院のように数年の時間を使う必要はありません。

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受験資格についての注意点

司法試験の受験資格については、非常に厳しい制限が加えられています。法科大学院を卒業したから、あるいは司法試験予備試験に合格したからと言って、司法試験の受験資格がいつまでも認められるわけではないのです。

具体的には、「5年以内に5回まで」しか、司法試験を受験することができません。受験資格を得てから5年以内に司法試験に合格しなければ、せっかく取得した受験資格自体が失効します。

それ以降も司法試験の受験を希望するのであれば、再びいずれかの方法によって司法試験の受験資格を獲得する必要があります。ただ、数年前は、「5年以内に3回まで」しか司法試験を受験できませんでした。これに比べると、現状の受験資格要件は比較的緩和されていると考えることができます。

いずれにせよ、受験資格を取得した場合には、そのままスムーズに司法試験の突破を狙わざるを得ません。

司法試験の概要

さて、それではここからは本題の司法試験についてです。

試験の概要、合格率、その他注意事項について説明して参ります。

司法試験の日程等

司法試験は、毎年5月に、4日間にも及ぶ試験日程が組まれます(なお、令和2年度の司法試験については、新型コロナウイルス感染症の影響で8月に延期)。

この4日間の間に短答式試験と論文式試験をすべて受験しなければいけないために、ハードなスケジュールをこなすだけの体力も要求されます。

参考までに、原則的な開催期日である令和元年(平成31年)度の試験日程をご参考下さい。なお、試験科目の詳細については、次項において説明します。

5月15日(水)論文式試験選択科目(3時間)

公法系科目第1問(2時間)

公法系科目第2問(2時間)

5月16日(木)論文式試験民事系科目第1問(2時間)

民事系科目第2問(2時間)

民事系科目第3問(2時間)

5月17日(金)休日
5月18日(土)論文式試験刑事系科目第1問(2時間)

刑事系科目第2問(2時間)

5月19日(日)短答式試験憲法(50分)

民法(75分)

刑法(50分)

【参照】法務省『平成31年司法試験の実施日程等について

司法試験の試験科目

司法試験は、上述のように大きく「論文式試験」と「短答式試験」に区分されます。

論文式試験は、公法系科目(2問)、民事系科目(3問)、刑事系科目(2問)、選択科目(1問)という形で実施されます。各問100点満点、総合計800点満点です。

どの設問も、複雑な事例に対して求められる法的解決方法やその際に生じる法律解釈問題、過去の判例や裁判例の見解に対する言及などについて、かなりの分量をかけて記述しなければいけません。

出題範囲は、以下の表をご覧ください。

公法系科目行政法、憲法
民事系科目民法、商法、民事訴訟法
刑事系科目刑法、刑事訴訟法
選択科目倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)のうちから1科目を選択

短答式試験は、憲法、民法、刑法の3科目のみです。短答式とは、いわゆる選択形式の問題のことです。ちなみに、制度が変更される前は、この三法に加えて、行政法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法についても短答式試験が実施されていました。

その頃を比べると、比較的受験生の負担は少なくなったと考えることができます。民法は75点満点、刑法と憲法は各50点満点、合計175点満点で判定されます。

司法試験の合格判定方法について

論文式試験と短答式試験によって司法試験の合否は決せられるのですが、その判定方法にはいくつか細かい規定が定められています。

【参照】(法務省『司法試験の方式・内容等の在り方について』

短答式試験の判定方法

まず、短答式試験の得点について。科目ごとに、満点の40%の得点を取得できなければ、その時点で不合格となります。

具体的に言うと、民法では30点、刑法・憲法では20点未満の場合、不合格です。そして、この場合、そもそも論文式試験の採点を受けることもできません。

受験日程をご覧頂ければ分かるかと思いますが、短答式試験は司法試験の最終日です。どれだけ論文式試験の手応えが良くても、短答式試験に失敗してしまうと元も子もありません。短答式試験は、決して気を抜いてはいけません。

次に、短答式試験の科目足切りをクリアした場合には、3科目の合計点によって、短答式試験の合格者が決せられます。というよりも、ここでの選抜は「論文式試験の採点人数を減らすために、短答式試験で一定数の成績不振者をあらかじめはじく」という意味合いが強いとされています。

短答式試験の合格基準点は例年異なりますが、おおよそ6割~6割5分の得点率で推移しています。令和元年(平成31年)度の短答式試験の結果データを掲載しておきますので、ご参考ください。

【平成31年(令和元年)度司法試験短答式試験の結果データ】

受験者数:4,466人

短答試験合格最低点:108点(175点満点中)

短答試験合格者数:3,287人

憲法の科目不合格者数:180人

民法の科目不合格者数:82人

刑法の科目不合格者数:368人

【参照】(法務省『令和元年司法試験(短答式試験)の結果』

論文式試験の判定方法

短答式試験の採点が行われた後、ようやく論文式試験の採点が行われます。平成31年度の司法試験について言えば、短答式試験を合格した(論文式試験の採点対象から漏れなかった)3,287人の答案のみが採点されることになります。

先程簡単に触れたように、論文式試験は8問、各100点満点、合計800点満点の試験です。ただし、短答式試験と同様、論文式試験においても科目ごとに最低ラインをクリアすることが求められます。各科目の満点の25%に相当する点数を取得できなければ、不合格です。

論文式試験の科目不合格基準に抵触しなければ、いよいよ最終的な合否判断がなされることになります。その際には、論文式試験と短答式試験の両者の得点によって決せられます。

具体的には、次の数式によって各受験生の合計得点が導き出されます。つまり、論文式試験と短答式試験の得点比率が8:1となるように調整の上、総合点数が決せられます。

総合評価の得点=短答式試験の得点+(論文式試験の得点×1400÷800)

司法試験の合格者数など

司法試験の最終合格者数は、毎年おおよそ1,500人前後で推移しています。司法試験制度の改革の影響を受けて、合格者数はその昔よりも大幅に増えています。

ただ、近年の傾向を見ると、合格者を増やすという要請は落ち着いたようです。

平成31年度平成30年度
受験者数4,466人5,238人
最終合格者数1,502人1,525人
合格率約33.6%約29.1%

【参照】(法務省『令和元年司法試験の採点結果』

今後、どのような形で合格者数が推移するかの見通しを立てるのは難しいですが、少なくとも近年中に大幅に合格者の増減があるという情報はいまのところありません。

また、合格率だけに注目すると、突破が容易いようにも思えます。ただ、以上で説明してきたように、司法試験は受験に至るまでのハードルがとても高い試験です。

そして、そのハードルをクリアしてきた人たちの中で合否が問われるものですから、「3人に1人合格する」という事象をもって簡単な試験であると理解するのは間違えています。合格のためには、日々継続的な努力を要しますので、これから受験を検討される方は、ぜひ頑張ってください。

司法試験に合格するには?

この章では、司法試験に合格するための勉強法などについて説明させて頂きます。

短答式試験の勉強法

短答式試験は、憲法・民法・刑法の基本3科目が試験内容です。法律を勉強するにあたっては欠かすことができない主要科目ですので、絶対に手を抜かないでください。

特に、短答式試験を意識した勉強をする場合には、細かい知識まで記憶する必要があります。条文素読、市販の択一用の六法を活用するなどして、条文や判例知識の取入れを怠らないようにしてください。

ただ、短答式試験の対策に終始してしまうと、肝心の論文式試験の対策がおろそかになってしまいます。毎日少しずつ短答式対策の時間を設けて、継続的な知識補充に努めるようにしましょう。

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論文式試験の勉強法

論文式試験の対策としては、主要論点とそれに関連する判例の見解を確実に押さえることからはじまります。そして、そのような土台が固まったのであれば、実際の事案処理内容を記述しなければいけない答案練習が欠かせません。

事案の分析、事実のあてはめ、評価など、テクニカルな作業に熟練しなければ論文式試験は太刀打ちできません。

過去問を分析したり、過去の優秀答案などを参考にしたりしながら、実力を養いましょう。

司法試験予備試験の勉強法とは?効率的に合格するための方法論を解説
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選択科目は何を選ぶべき?

論文式試験においてどの選択科目を受験するかは非常に難しい問題です。いろいろな事情を考慮すべきとも思うのですが、そもそも興味がなければ学習は進みません。一番大切にすべきなのは、自分がどの法律を勉強したいのか、どのような法律家として仕事をしたいのか、という点です。

例えば、弁護士になったときに労働紛争をメインに取り扱いたいのであれば、労働法を選択するべきでしょう。また、大きなローファームにおいて企業法務に従事したいのであれば、経済法や租税法、知的財産法などがおすすめです。一般民事を主眼に捉えるのであれば倒産法ですね。

難易度や知識量、受験者数にばらつきはあります。しかし、そのようなデータから選択科目を選んだとしても、司法試験の論文試験をクリアできるほどの熱量を注ぎ込めるとは考えにくいでしょう。ご自身の将来ビジョンをイメージし、選択科目を選んでみてはいかがでしょうか?

まとめ

以上が、司法試験についての説明です。最難関国家試験の一つと言われる理由をご理解いただけたのではないでしょうか?

これから法曹を志願する方にとっては、想定以上にハードルは高く、長い道のりだと感じたかもしれません。ただ、正しい勉強法を実践し、努力を継続できれば、司法試験の合格は決して不可能ではありません。

志を抱かれているのであれば、ぜひ挑戦してください!

この記事を書いた人
編集長カシワギ

士業資格の教科書編集長のカシワギと申します。コンテンツの作成とサイト運営を担当しています。士業資格のことならなんでもお任せください。

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