弁理士とはどんな職業?仕事内容・年収・将来性まで総解説

弁理士とはどんな職業?仕事内容・年収・将来性まで総解説弁理士
この記事ではこれがわかる!

・弁理士とはどんな職業なの?

・弁理士の仕事内容とは?

・弁理士の年収は高い?低い?

・AI時代における弁理士の将来性は?

弁理士は一般的な市民生活とは無縁とも思える士業ではありますが、実は我々の生活と密接な関わりをもっています。

弁理士の仕事内容や年収、資格を得るための方法などを士業資格の教科書編集部が紹介します。

弁理士とはどんな職業?

弁理士とは、知的財産に関する法的な業務を専門に扱う法律の専門家です。知的財産に関する権利関係に精通しており、知的財産権をもつ人々の利益を保護するために活躍します。

知的財産とは、人々が生み出したアイディアや創作物のことです。作曲や執筆などの創作活動や、企業の商品名など、人間の社会生活の中には非常に多くの知的財産が溢れています。知的財産を生み出した人は、当該創作物に対する財産的な権利を保有します。

少し難しいかもしれませんので、例を挙げて説明します。

例えば、自分が作曲した音楽をどのような形で活用し、経済的利益を得るのかはその人次第ですよね。このように、全ての知的財産とそれに対する知的財産権はセットです。そして、この知的財産権をしっかりと保護し、適正に権利が実行されるために仕事をするのが、弁理士なのです。

冒頭で述べたように、日常的に弁理士と関わりをもちながら生活をしているという方はほとんどいらっしゃいません。

しかし、我々が日々購入する日用品や街中に溢れている音楽、身に付けている服飾品、道路を行き交う自動車など、全てのものを当たり前のように享受できている現実こそ、弁理士がしっかりと知的財産権を運用している証拠なのです。

弁理士の業務内容

弁理士の仕事は、「知的財産権の出願手続に関する代理」「知的財産に関するコンサルティング業務」「争訟での助力」の三つに大きく区分できます。以下では、それぞれについて詳しく解説します。

【参考】『弁理士の主な仕事日本弁理士会

知的財産権の出願に関する代理

弁理士は、特許庁への出願手続を代理します。

創作物やアイディアなどに関する知的財産権を強固なものとして運用するには、特許庁に出願しなければいけないとされています。この出願手続は非常に複雑で、誰にでも簡単にできるという類のものではありません。

適切な出願書類を作成するには、技術面と法律面の専門知識を共に有する必要があります。書類の数も多く、期限も厳格に設定されています。知的財産権者がこれを独力で行うのは難しいので、弁理士がこの手続を代理して行います。

特許権、商標権、意匠権、実用新案権など、全ての知的財産権の申請に関して、弁理士は業務を請け負うことができます。

知的財産権に関するコンサルティング

弁理士は、知的財産権にまつわる相談に広く対応します。

もちろん、上述のような知的財産権に関する出願手続代理の打診もコンサルティング業務に含まれます。ただ、実際はこれに尽きません。

例えば、自社で使用している企業のロゴマークに似たものを他社が使用しはじめたとしましょう。これは、自社で開発した企業ロゴマークに対する知的財産権を侵害している可能性があります。

このようなケースで、「そもそも知的財産権を侵害されているのか」「侵害されているとして、どのような形で相手方と交渉すれば良いのか」「訴訟以外の方法で、何かしらの契約によって紛争を回避できないか」など、色々な観点からのアプローチが考えられます。

弁理士は、このような形で知的財産権に関する相談を受けることができます。

IT化の進んだ現代社会では、知的財産権に対して繊細な対応が求められます。特に企業活動を行う上では、自社の知的財産権を保護しながらも、他者の知的財産権を侵害してはいけないという厳しい制約が課されています。

紛争を顕在化させる前にリスクマネジメントを行うという意味で、弁理士のコンサル業務は有用です。

争訟での活動

弁理士は、知的財産にまつわる争訟において活躍します。

例えば、知的財産権の出願が特許庁に認められないケースがあります。この場合、特許庁に対して「審判の請求」という手続を経て、出願を認めさせる方向で動かなければいけません。弁理士は代理人として、当該知的財産権が権利として認められるように依頼者のために尽くします。

さらに、「審判の請求」手続を経ても知的財産権が認められない場合には、高等裁判所に対して「審決取消訴訟」を提起する必要があります。この訴訟において、弁理士は訴訟代理人として活動します。

他方、弁理士は権利侵害をしたと主張されている加害者側からの相談を受けることもできます。この場合には、弁護士と共に、訴訟代理人として訴訟において知的財産の専門的知見を披露します。

弁理士の年収

弁護士の年収の平均値は、600万円前後であるとされています。

ただし、弁理士の年収は人それぞれです。というのも、どのような勤務形態で弁理士として仕事をしているのかに左右されるからです。

特許事務所に勤めている弁理士、特許事務所を経営している弁理士、大手ローファームにおいて弁護士と共に仕事をしている弁理士、一般企業に就職しながら知的財産部署に配属されている弁理士など、非常に多岐に渡ります。

実際のところ、稼いでいる金額も、年収数百万円程度から数千万円というように、幅が見られます。

弁理士になるには?

弁理士として仕事をするには、弁理士試験という国家試験に合格し、実務修習を経た後、弁理士登録をしなければいけません。他にも、弁護士資格を保有するなどの場合には、弁理士として職務を遂行できます。

弁理士試験は、短答式筆記試験、論文式筆記試験、口述試験の三段階に分かれています。以下で、各試験について詳細な解説を加えます。

【参照】弁理士試験の内容』(特許庁)

短答式筆記試験

短答式筆記試験は、毎年5月中旬から下旬頃に実施されます。出題範囲は、工業所有権に関する法令です。

具体的には、特許・実用新案に関する法令から20題、意匠に関する法令から10題、商標に関する法令から10題、工業所有権に関する条約から10題、著作権法及び不正競争防止法から10題、全60問が出題されます。合格水準得点率は65%に設定されています。

短答試験に合格すると、向こう2年分の弁理士試験において短答試験が免除されます。弁理士試験への最終合格を狙うのであれば、この期間以内に決めてしまうのが得策です。

論文式筆記試験

論文式筆記試験は、必須科目と選択科目の二つに区分されています。

必須科目は、工業所有権に関する法令から出題されます。具体的には、特許・実用新案に関する法令、意匠に関する法令、商標に関する法令の3科目です。合格するには、獲得点数が標準偏差によって調整された結果、54点以上を獲得している必要があります。

選択科目は、次の6科目のうちから1科目を選択します。具体的には、機械・応用力学、数学・物理、化学、生物、情報、法律です。合格するには、各科目の素点が60%以上でなければいけません。

注意しなければいけないのが、試験の免除期間についてです。選択科目は、一度合格すれば永久に免除資格を獲得できます。これに対して、必須科目は短答式試験と同様2年に限定されます。したがって、どれだけ長期で勉強計画を立てるにしても、2年を限度に捉えるのがおすすめです。

口述試験

口述試験は、特許・実用新案に関する法令、意匠に関する法令、商標に関する法令から1題ずつ出題されます。面接方式で問われ、各10分程度です。

各科目の出来をABCの三段階で評価され、最低評価であるC評価を2科目以上取得しない限り合格します。

令和元年度試験結果について

参考までに、令和元年度の試験結果状況をご紹介します。

志願者数3,862人
短答式筆記試験受験者数2,895人合格者数531人
論文式筆記試験(必須科目)受験者数1,070人合格者数279人
論文式筆記試験(選択科目)受験者数224人
口述試験295人合格者数284人

【参考】令和元年度弁理士試験統計』特許庁

受験者数等が入り組んで見えるのは、受験免除者が各ステージに介在するためです。ただ、口述試験を除けば、各試験の難易度は簡単なものではありません。効率的に実力を蓄える必要があります。

弁理士の魅力

弁理士は、有形無形問わず、多くの物・サービスの根本を支える重要な役割を担っています。弁理士という専門職がそれぞれの権利の実効性を高め、安心した取引サービスを提供できる環境を整えてくれているからこそ、私たちは、便利で刺激溢れる日々を謳歌できているのです。

したがって、弁理士には非常に重い責任がのしかかります。この責任感がやりがいに転じたとき、魅力あふれる仕事となるでしょう。

さらに言えば、さまざまな商品や作品を生み出すクリエイティブな人たちと日々接することができるのも魅力の一つと言えます。

弁理士のもとへ相談に来る人たちは、その多くが何かしらの知的財産権を創造し、社会を前に進めている人たちです。常に社会システムの最先端に触れることができるので、刺激的な日々を送ることができます。

弁理士はこんな人におすすめ!

著作権法などの法律を専門に扱うイメージが強い弁理士ですが、実はそのような法律の素養だけではこなすことができません。

というのも、例えば特許の申請をする際には、工業的専門見地から書類を作成する必要も生じるからです。理系の学生、理路整然と物事を考えるのが得意な方は、弁理士に向いていると言えます。

また、特許申請には厳格な期限が設定されます。大きな企業を顧客とするケースも多いので、時間にルーズなようでは、想定外の損害を生ぜしめる可能性も否定できません。弁理士には、きっちりとした性格の方が向いています。

AI時代における弁理士の将来性

弁理士の業務が、すべてAIに代替されることはありません。

例えば、申請書類のうち、単純に雛型に当てはめるような類のものであれば、わざわざ弁理士が業務を行わずとも、AIが処理してくれるというケースもあるでしょう。

また、権利申請の際、他に似た著作物との違いをリストアップする際には、AIによる判定技術を用いた方がスムーズかつ理論的な分析を行うことができるかもしれません。

しかし、弁理士はあくまでも接客業です。依頼者の保有する権利を実現するためには、依頼者と実際に顔を合わせ、その情熱を知り、信頼関係を構築しながら申請業務を遂行しなければいけません。AI技術の介入は、あくまでも弁理士の本質的業務をサポートにとどまります。

したがって、現在隆盛を極めつつあるAIの参入ですが、弁理士が排除されることはあり得ません。むしろ、弁理士の仕事をより効率化してくれるツールとして、積極的に活用していくことが望ましいでしょう。

まとめ

以上が、弁理士という職業に関する解説です。現代社会における重要性をご理解いただけたと思います。

担う責任が大きいこそ、弁理士は魅力的な職業ですし、同時にそう簡単に獲得できる資格でもありません。着実な努力を要します。弁理士試験のデータをご覧いただければ分かる通り、合格の難易度は難しいのが実情です。

したがって、試験範囲を漠然と勉強するというような非効率的な試験勉強はおすすめできません。期間を決めて、各科目の合格に必要なポイントを優先的にピックアップし、効果的な学習をすすめてください。

この記事を書いた人
編集長カシワギ

士業資格の教科書編集長のカシワギと申します。コンテンツの作成とサイト運営を担当しています。士業資格のことならなんでもお任せください。

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